2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

小説の森で - 4.芸術であるということ

小説を芸術の一種であると初めに宣言したのは坪内逍遥。以来、純文学と呼ばれ る小説には今日までずっと芸術性というものが要求されている。そも、芸術が芸術 である資格とは何なのか? それは、「作品そのものとしては現されていない何かが鑑賞者の内に感覚…

小説の森で - 3.読み物と文学の境界

純文学小説、大衆小説、中間小説、歴史小説、ノンフィクション小説、推理小説、 探偵小説、SF小説、ファンタジー小説、恋愛小説、冒険小説、童話小説、大人 向け童話小説、ライトノベル・・・・実に多くの小説らしきものが氾濫している現 代。この中で、純…

小説の森で - 2.文学としての小説

さて、天下の最高学府の堂々たる文学士・坪内逍遥様が、人情世態などを描く という庶民小説に手を染めた時、世間の驚きはいかほどだっただろうと想像す ると面白い。文化とは常に、旧来の常識(思い込み)を打ち破って進化するも のだという好例だろう。 逍…

小説の森で - 1.異形の森

文学の樹を探し求めて、小説の森に迷い込んでしまってから、早、12年が経 とうとしている。この森はなんと深いのだろう。直立した木に、くねった木、ご つごつした木や、つるつるした木、スリムに佇む木もあれば、繁り放題の木もあ って、その上この世なら…