2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧

秋の陽の中で

陽だまりに 小さき羽虫 来てあそぶ 久しぶりに秋らしい天気になりました。綺麗な陽がベランダから差し込んでい ます。 向かいの家の外壁を覆っていた蔦の葉が枯れて窓が姿を現し、風が吹 くとカサカサと音をたてて揺れて、清涼な空気の中に、なにかもの悲し…

文学の虚と実

秋らしい良い天気です。今までここにあった人の魂、これまでに生きて死んだ夥しい数の魂が、この澄み切った大気の中の透明な世界に満ちている、そんなことを思ってしまいました。きょうは、目に見えない文学の世界のことを考えてみましょう。 しばらく前にブ…

父を悼む

父はまだもの心もつかないうちに両親と死に別れ、親の顔を知らないまま、新潟の伯父の家で育てられました。少年期を戦争の中で過ごし、戦死する以外の道は考えられず、将来への夢を抱くこともありませんでしたが、出征送別会の翌日に、思いがけず終戦を迎え…

心の眼で見る ー 五・七・五 文学(2)

さて、続きを書きましょうか。そうそう、このごろの「五・七・五文学」のところからでした。このごろの特徴として、句における点景の変質ということがあるように思います。これまでの1)~4)の句群はみな、点景が圧倒的に句の雰囲気を支配し、そこから感…