これが著者の幸せ

久しぶりに「沙羅と明日香の夏」へのレヴューをいただきました。「青い鳥のロンド」を読んでくださったぼーちゃんが、前作にも興味を持ってくださったものです。
以下は、原文のままです。

セイラさん 読みました 読みましたよ『沙羅と明日香の夏』・・・
1ページ 2ページ そして3ページとめくってるうちに、セイラさんの文章のタイムマシン魔術にかかって、沙羅ちゃん明日香ちゃんの世界にグングン引き込まれていき、懐かしさもいりまじり,温かい心の風を感じました。
一見苛める方が強いような錯覚を起こしてる現状ですが、人の心を傷つける事が何と弱い情けない事なんだろうと言う感覚を呼び起こしてくれる素敵な本だと思います。
それに、セイラさんの巧みな言葉使いが素敵だなぁ~と思う所が多々ありました中で、『扇風機が首を振りながらせっせと風を送る』が、一生懸命さ、そして可愛さも感じとても好きです。 
『沙羅と明日香の夏』この本を読みながら浮かんだもう一つの本名があります『いじめ問題・対策参考書』いかがでしょう・・・沙羅ちゃん・明日香ちゃんと同じお年頃の全国の中高生にできる事なら配ってあげたい素敵な本です。 

 というのが、最初にいただいたレヴューですが、それから数日して、また追加のレヴューをくださいました。 
 
セイラさん 実を言いますとねっ、私が書きました『沙羅と明日香の夏』の感想・・・あれは本を読んでいる途中までの感想だったんです。あまり感動したものですから、最後まで読んでも同じだろうと思い先走って書いてしまいました・・・
ところが ところが 後半での展開は、明日香ちゃんの田舎での心温まる沢山の触れ合いに胸がキューンとして思わす涙目になったり、宇宙レベルでみた人間の命のはかなさと、はかなさゆえの命の大切さ、型にはまらない心の大切さ、心の広さ、そして心の温かさを感じることが出来て、読み終えた時には、ほわっとした温かい酸素が胸いっぱいに入ってきたような爽やかな素敵な気持ちになっていたのです 
ステキな本を読ませていただきありがとうございました。改めて感想を付け加えさせていただきました。

ぼーちゃん、こちらこそ、素敵なレヴューをありがとうございました。
ああ、伝わるべきものが伝わっているなあと感じるこの嬉しさ。著者冥利に尽きます。
谷川の清流と、☆彡降る夜、大ばあちゃんと蛍の思い出、仏法僧の山に、天文台、愛すべき6人の若者たちと事件・・・・
ぼーちゃんのレヴューのお蔭で、ほんとうに久しぶりに、自分自身が創ったあの世界にまた引き込まれていきました。
 
小説の世界は不思議です。非現実であるはずなのに、現実よりもはっきりとした陰影を持っていつも私のすぐ隣にあるのです。思い出しさえすれば、とたんに私はその世界に引き込まれていきます。そこにある光も、音も、匂いも、風も、私にはリアルすぎるほどリアルな、現実そのものに感じられるのです。そこを歩けば、どこかであの若者たちに出くわしそうな気がします。
 
ちょっと気になったので調べてみましたら、ほとんどのネット書店ではもう在庫切れになっていました。もちろん書店にはありません。
この小説は愛される小説だったようで、ほんとうにたくさんの方が買ってくださいました。出版社さんにも残り僅かなようですし、私の手元にもあと5冊しかありません。Amazonには1冊。ただ、中古が5冊出ています。それですべてだと思います。興味を持たれた方はお急ぎください。
 
また、全国で40ほどの図書館には在庫されていますので、ひょっとしたらお近くの図書館にもあるかもしれません。ない場合は、カウンターでリクエスしてみてください。近隣の図書館から取り寄せてくださったり、購入したりしてくださいます。
 
 
ミンミンゼミが鳴き始め、夏ももう終わりですね。 
思いがけず、ぼーちゃんが「沙羅と明日香の夏」を訪れてくださって、同じ夏を味わえて、きょうはとっても幸せな気分のセイラ(緋野)です。

自分らしさを思う 50代女性 I さん

かつての同僚 I さんに「青い鳥のロンド」のレヴューをいただきました。 I さんは何があってもへこたれず、いつも明るい方を向いて、解決策を見出して前に進む、根性のある女性でした。今も現役でフルタイムの仕事をこなす、50代後半に入った彼女のレヴューです。

「青い鳥のロンド」 読みました。
私も今まで33年勤めてきて、仕事と家事と子育てについて考えてきました。今は子どもはみんな就職し、孫もできて、嫁に夕食を作ってもらう環境です。子育て中に比べれば楽になったはずなのですが、年齢とともに体力は減退し、逆に職場での役職は上がり、今はこの過酷な場所で人間関係に疲れています。
実は昨日は熱でお休みをもらって寝ていたので、きょうは静養を兼ねて本を読ませてもらったというわけです。
 
読み通して、自分らしく働く意義を考えてしまいました。変な責任に押しつぶされている今の自分を思います。そしてその、「自分らしさ」というものがまた、よく分からないのです。 33年間、よく頑張ってきたとは思います。仕事と家事と育児の間を駆け抜けてきて、それぞれをなんとか回せて来られて、それぞれがなんとか収まるところに収まってくれて、けれど、何となく達成感が乏しいような気がするのです。
私は私らしく生きてきたのだろうか? 私は何をしようとしてここまで来たのだろうか? 何がしたかったのだろうか? と。
 
本とあまり関係のない、自分の話になってしまいましたね。
でもとにかく、この本は、幸せについて考える機会になりました。自分自身、夫、孫、嫁、それぞれの幸せというものを思いました。

I さん、ありがとうございました。ほんとうに過酷な、戦場を駆け抜けるような生活でしたよね。早くにリタイアした私から見ると、あなたの頑張りは驚異的です。あなたの33年に及ぶ頑張りに、心から敬意を表します。
 

    「青い鳥のロンド」緋野晴子著(リトル・ガリヴァー社) 
 
* 全国書店でお求めいただけます。(店頭にない時は書店にご注文ください)
* 楽天ブックスAmazon 等ネット書店にもございます。
* 庶民の味方、図書館でリクエスして、購入していただくこともできます。

小説の森で - 9.誰に向かって書くのか?


「青い鳥のロンド」は、読者の感想にずいぶん差のある小説だった。感想に差があること自体は悪いことではないと思う。それは作品の幅というものでもある。
けれど、作者緋野の意図した肝心なものは、読む人すべてに伝わっていただろうか? 緋野の魂はすべての読み手に届いていただろうか? 届いた上での感想の幅だったろうか? 
・・・否である。
ではそれは、表現の拙さによるものだったろうか? 
・・・半分はそうかもしれない。が、半分は否だと思う。

それは恐らくこの作品が、女性の心理を主として描いていることに起因していると思われる。男性には共感できる心理的体験がないのだ。のみならず共感したくないという心理の働く男性も少なくないのかもしれない。真の幸福を求める女性の心理は、男性にとっては関心の薄い、あるいは耳の痛い、ひいては都合の悪いものなのかもしれない。
この作品は男女を含めた幸福を追求したもので、そんな偏狭なものではないのだけれど。

いずれにしても、「青い鳥のロンド」は、読者を選ぶ小説だ。
小説が読者を選ぶ・・・
ここで緋野が考えてしまうのは、「私は誰に向かって書いたのだったろう?」ということだ。

 小説は独白ではない。独白なら大学ノートにでも書きつけておけばいい。小説を書くということは、意図的に現実そのものとは別の世界を創り出すということであり、なぜそうするかと言えば、そこに誰かを招き入れたいから、つまり、読者を求めるということだ。
 
 作者は、この混沌たる世界の中から、自分だけが感じ取った主観的な世界を、一枚の透明なスクリーンのように漉しとって、小説という文章の中に展開する。自分というフィルターを通して整理・象徴された世界の中に生きてみようとするのだ。
だから、最初にその世界に招き入れられるのは、作者自身ということになる。
けれども、それだけでは終わらない。描かれた世界は独白と違って、必ず他の訪問者を、より多くの訪問者を求めるものだ。それは、「誰かの魂と繋がりたい」という、小説に潜んだ人間の根本的な欲望による。
 それならば、その訪問者は誰でもいいのだろうか? 多ければ多いほど? 
 
 確かに門戸はすべての人に向かって開けているし、総じて作者には、世界をこんなふうに見ている者がいるということを、より多くの人に知ってもらいたいという欲求があるだろう。
「青い鳥のロンド」の場合で言えば、緋野には、女性はもちろん男性たちにも広く読んでもらい、人間としての幸福・家族の幸福・日本社会の将来について、共に考えてもらいたいという願望があった。出版費用をカバーできるだけの多くの人に読んでもらえないと困るという切実な思いもあった。

それでも、よくよく心の奥を探ってみると、結局のところ、私がほんとうに自分の世界に招き入れたいと望んでいたのは、自分に似た魂を持つ誰かだったのだということに気がつく。私は、男性でも女性でもとにかく、魂の通う相手を探していたのだなあと。
それは私以外の作者でも、たぶん同じことだろうと思う。
 だから、作者は誰に向かって書くのかといえば、それは男だ、女だ、何十代だということではなく、不特定多数の、あるいは不特定少数の、魂の通う誰かなのだ。
ということはつまり、作者としては、ひたすら自己の世界を芸術的に描き出すことに専念すればいいということになる。
 
 特定の読者を念頭に置き、その読者層にアピールするように書くなどということを考え始めると、小説は駄目になるような気がする。緋野は一時期、人に読んでもらうからには誰に向かって書くのかを意識しなければいけない、そういうことにも敏感にならなければならないと思った時期があった。けれども、それは間違いだ。書くときは、あくまで、徹底的に、自分自身を発信することだ。
そうすれば、小説が自ずと読者を選んでくれる。その選ぶに任せればいい。 なべての人々の魂を呼び込む場合もあれば、片寄る場合もある。それでいいというのが、緋野の結論だ。
 
 ただし、どんな人が読者さんになってくれるだろうか? ということは一考の余地があると思う。緋野は「沙羅と明日香の夏」を書いた時、中高生にも読めるようにと、漢字その他の表記にずいぶん気を配った。読者を想像してみて多少の表記を変更することは、自分の世界に人を招き入れる者として、必要なように思う。
 
 ちなみに、文学賞の求めるものを意識して書くというもの、言わせてもらえば邪道だと思う。文壇は、作家という職業を生業にしている人たちのギルド社会だから、そこで目を引くのは、新鮮な素材・新しい技法・珍しい文体・斬新な構想・細工のかかったプロット等。
けれども、そこから入って捏ねくった小説は、生きた小説にはならない。
あくまで自分の内から突き上げてくるものを、どう展開すれば小説世界の中に完璧に描けるか、そのための表現方法を探るべきだと、私は思う。

え!楽天も売り切れ? 小説「青い鳥のロンド」

8月に入って身辺が俄かに慌ただしくなり、パソコンに向かえないまま日々が過ぎていきました。
今日こそは 「小説の森で」 記事を書こうと思い、その前にいつもの習慣でチラッとネット書店を覗いてみると、あらら? 「あと在庫3冊」となっていた楽天ブックスが、「メーカー取り寄せ」になっているではありませんか! ですので、急遽、記事変更です。
 
ネット書店に返本はない(買取)と聞いています。ということは、売れた?んですよね。
以前、「楽天で買ったよ」という報告をいただいたのがお一人、その後、在庫数の減少1を確認しましたので、つまり楽天在庫分合計5冊が完売されたということですよね。
ばんざ~い! 
 
たった5冊売れたくらいで何を大袈裟な、と思われるかもしれませんが、本はなかなか売れないんですよ。一般の書店と違って買取で置いてくださるネット書店です。置いていただいているのを見ると、著者としては有難くも思い、また、売れていかないと申し訳なくも思うものです。
ですから完売されたということは、ネット書店さんに少額ではあっても確かに利益を上げていただいたということであり、また、「青い鳥のロンド」の読者さんが確実に5人増えたということでもあって、1000人の読者さんを目指している緋野のような書き手にとっては、十分万歳に値するのです。
 
他に何の宣伝もしていませんので、このブログでの紹介や、読者さんたちのレヴューを見てくださった方たちだろうと思います。
買ってくださった3人の方々、ありがとうございました。そして、レビューをくださった方々も、ありがとうございました。皆様のお陰です。
 
まだ以下のネット書店には在庫があり、すぐに発送してくれるようです。
 Amazon  BookFan  DMM.COM  
 (送料無料)
 紀伊国屋 BookWeb  honto  e-hon  
   セブンネットショッピング  ヤマダモール
 (会員になっているとか、配送方法とかの選択によっては、送料無料かもしれません)
 
 もちろん 楽天ブックス に注文することもできます。時間は少しかかるかもしれませんが。
 
 
ネット書店の良さは手軽に早く手に入ることです。
皆さまもお盆の旅路のお伴に、「青い鳥のロンド」 はいかがでしょうか? (と、すぐに宣伝する緋野です。笑  ・・・ だって、1000人の読者さんには、まだまだ遠いのですもの。頑張らなくちゃ。)
 
 「青い鳥のロンド」 緋野晴子著(リトル・ガリヴァー
 
  ほんとうに幸せなのは誰なのか? 
       幸せの条件とは何か? 青い鳥はいるのか?
                    
就職氷河期の中でなんとか思いどおりの道を切り開き、仕事も結婚も手に入れた4人の勝ち組女たち。 夢を追う菜摘子を取り巻く人々、ある日忽然と現れた栄の魔女と夢子さん。30歳を迎えた彼女たちを待っていたものは・・・。
今を生きる男女に、幸福の真の意味を問う現代小説。 
あなたは青い鳥が見えますか?
 
 
以下の書店で平積みされましたが、そろそろ無いところが出てきたかもしれません。
 
   名古屋    三洋堂書店 (込中 店)(塩釜店)  
          ジュンク堂(名古屋店) 
          本の王国(中日書店)  
          ちくさ正文館書店(本店)  
          ライブラリー大曽根
   豊  橋   豊川堂 (本店) (カルミア店)
                               (アピタ向山店)
          精文館 (本店)
   豊   川    あおい書店 
   豊   田    くまざわ書店
   刈   谷         くまざわ書店
   知   立    夢屋書店
   高   浜    三洋堂書店 
   新  城  夢屋書店ピアゴ店)

ご近所に住む86歳の歌詠みの男性O氏から、緋野の小説「青い鳥のロンド」にレヴューをいただきました。息子のアパートから自宅に帰ったある日、ふと郵便受けを覗いてみると、封書の中に、原稿用紙に書かれたお手紙が入っていました。
すっかり遅くなってしまいましたが、感謝と敬意をこめて以下に掲載させていただきます。
 
 
    青い鳥のロンドを読む
 
五月末、重い小包が届いた。7人に配布し、出版社に送金して、あとは夕暮れ時も、夜も、深夜も読み続けた。
86歳の私とは違った若い世代の世界があった。
 
 場所は名古屋の栄、街のど真ん中である。登場人物は、菜摘子・翔子・麗ちゃん・百音・そして若い夫。
夫の妻との思いがリアルに描かれている。会社のことも、編集長のことも、現実社会の描写がリアルだ。
50ページの描写がいい。「健太の布団にすべりこみ、小さな体を抱いて寝た」
90ページあたりが面白い。麗の行動と夫の反応。麗ちゃんの姿がリアルだ。
126ページも面白い。男というものについて・・・優しい男、夫の変化・・・いろいろなことが分からなくなる。このあたりの描写、うまい。
夢子さんと栄の貴婦人は現実の人ではない、夢の中の人のようだ。
 
 青い鳥とはなにか? メーテルリンク以来、人々は青い鳥について考え、書いてきた。青い鳥は人々それぞれにとって違う。緋野さんは、この小説の中の人物のように、青い鳥を見つけるために書いている。
 緋野さんは、一生懸命に書く。家族の世話をしながら、御主人の仕事を助けながら、時間を見つけてせっせと書く。夜も朝も、自分の青い鳥を求めて。
 だが、私には「青い鳥のロンド」のテーマは理解しにくかった。
私は短歌を作る人間で、私はふるさとを描くために書いている。86歳の明解な短歌を作っている私には、はっきりしたテーマが欲しい。漱石の「坊ちゃん」や伊藤佐千夫の「野菊の墓」、野間宏の「真空地帯」のような単純・明解なテーマが。
小説は百人百様であっていい。どんな風に書いても小説なのだ。小説は自由なのだ。だが、私にはテーマへの共感が欲しかった。
 
 でも、緋野さん、よくやったね。私の計算では300枚以上書いたと思われる。
介護、仕事、よくやっているね。あなたの青い鳥、真剣に読みました。
ありがとう。 ありがとう。
次回作も、近いうちに見たい。86歳、あとが少ないから。
               平成29年、五月末、土曜日書く。
 
 
一生懸命に作品の良いところを見つけて、私を励ましてくださろうとするO氏の温かさが心に沁みます。Oさん、ありがとうございました。
 
子ども時代を戦中に過ごし、ご家族を数人亡くされ、貧しさと闘って苦労されたOさん、安全・平和への活動、仕事、生活向上、地域社会への貢献・ふるさとの良さを残す短歌・・・・Oさんは、幸せとは何か?と迷うことなく、幸せの方向を誤らずに生きて来られた方なのではないだろうかと、レヴューを読みながら思った緋野です。
夫は外、妻は内、と夫婦の分業がはっきりしていた世代、働くことの第一目的が生活の向上であった世代には、平成の人間がめざす幸福や、平成の家族が抱える幸福への迷いは、理解し難いようです。
いえ、Oさんの世代というよりも、一般に男性読者の反応が鈍いのは、もしかしたら、男性たちの意識はOさんの世代とほとんど変わっていないからかもしれません。
この小説が投げかけているものは、幸せに迷うことのない人には、興味の湧かないものでしょう。幸せは人それぞれと言ってしまえば終わることです。
けれども、ここに登場する四夫婦の悩みは、単に彼らひとりのものではなく、この時代の若い家族たちの悩みです。そこを直視することが、より幸福な人間の未来に繋がると、作者の緋野は思うのですけれどもね。
やっぱり、どうも上手く書けていなかったのかもしれませんねぇ。反省。
 

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書き手と編集さん

緋野晴子の「青い鳥のロンド」は売れているのだろうか? と、また考えても詮無きことを考える。 「沙羅と明日香の夏」がよく売れたのは、推薦があって、教育界にアピールしたためだろう。 今回は何もない無名人の文芸書。そうでなくとも売れない文芸書だから心配している。

たくさん売れるとは思っていないし、たくさん売れなくてもいいのだけれど、書店からある程度売れてくれないと困る。 出版社さんに借りが返せないから。
 
書き手にとって、編集さんという存在は、たいへんありがたいものだ。 一作書き上げても、これではまだ駄目だと自分で思う部分があって、さりとて書き直しは厄介なものだから、なんとなくズルズルと日常の仕事に埋没していると、見ていたかのように電話が来て、「作品はどうなった?」と聞かれる。「まだ不十分なので投稿もしていません」と答えると、ビシビシ尻を叩かれる。
 
 「漫然とひとりで書いていては駄目だ、誰かに読んでもらえ、師を持て」
 「毎日、必ず書け」 「10回でも20回でも書き直せ」 
 「辞書を暗記するほど言葉の勉強をしろ」 「文学サークルに入れ」
 「少なくとも3冊は出版しないと書き手として相手にされない」
 「どっちを向いて書いてるの? 売れるほう? 文学界?」・・・等々
 
編集さんのアドバイスを受けて編集さんの社から出版をという、半分は営業トークの一環だと思うけれど、それだけでもない。小説への熱意が伝わってくる。
マイペースでやればいいと思っている私も、妙にこのままではいけないという気持ちになってくる。
 
結局不十分なまま投稿した文学賞に落ちて、出版社に原稿を送ると、こんどは、これでもかというほどクソミソの評が来る。けれどもそれらは、実は自分でも、これではと思っていながら厄介なので目を瞑っていた、その何かばかりなのだ。そこをパンパン指摘されると、実に気持ちがいい。この人の眼は節穴ではないなと思うと嬉しくなってくる。
 
それで、(ブルータス、君もそう思うか)というわけで、(しょうがない、やるか)という気持ちになる。そしてやると、面白いようにできるのだ。
メスを入れるのが面倒だったところほど、入れてみると思わぬ良い展開が生まれるという実感がある。 出版作はそうやって生まれる。
 
出版社は慈善事業をしているわけではないから、何のネームバリューもない作者に全額の援助はしてくれないけれども、かなりのただ働きをしてもらっている。
今回は予約をたくさんいただいたお蔭で、少なくとも損害は出さずに済んだのではないかと推測するけれど、できれば利益をあげていただきたいと心から思う。
 
リトル・ガリヴァー社の編集さんとの出会いは、緋野晴子にとって大きなものだった。この出会いがなかったら、2冊の出版は無かったろうと思う。感謝している。
 

遠隔操作透視の目?・・小説「青い鳥のロンド」レヴュー

緋野のブロ友、池ちゃんの「辛口レヴュー」から、ぼーちゃんが、緋野晴子の小説「青い鳥のロンド」に興味を持ってくださって、Amazonで購入してレヴューを書いてくださいました。有難いことです。
 
いただいたお言葉を、ここに掲載させていただきます。(セイラというのは緋野のブログネームです)
 
 
 
セイラさん、読ませていただきましたよ『青い鳥のロンド』 セイラさんのブログ友の池ちゃんのレヴュー記事の中の『何とつまらない物語だろう』との表現が妙に気になり、私はどんなふうに感じるのか、どうしても読んでみたくなったのです・・・
 
読み始めてまず感じたことは、ほんとだわ 池ちゃんがおっしゃられるように・・・ごめんなさい つまらないお話・・
 
と思った理由は、四人のお話の話題・・・『勝ち組』 とか 『負け組』 とか私の嫌いな言葉ですし、それにお話の内容も、このお話ってセイラさんの自分史?
みたいに感じて、なんだかなぁ~って思いながら読み進んでいったのです。
 
ところが読み進めていくうちに・・・ん? セイラさん! もしかして、遠隔操作透視の目とやらで私の心の中を覗き見してませんか? 
と思われるほど、そうなのよ・・・ホント・・そうなのよねっ・・と、現実と物語がうまく入り混じってるような不思議なその世界に引き込まれている私がいたのです。
 
物語の後半からぐいぐいと引き込まれて、読み終わった後は、最初に感じた、何だかなぁ~と思ったお話も、生きてる内容に感じられ、何かしら一体感みたいなものが残っておりました。
 
本を読んで初めて感じた体験でした。
 
それと、セイラさんのあとがきも、今どきの、社会情勢をしっかりと見つめられて、感じてらっしゃる感性に心惹かれました。
 
青い鳥は自分の心の中にあると思います   幸せは心の持ち方で感じるものではないでしょうか? 辛いという字に一を足すと幸せという字になるように、たったひとつの見方を変えたら・・
 
 
ぼーちゃん、主題に迫るご感想、ありがとうございました。
どうやら 「見方を変える」 というところに幸せのヒントがありそうですね。
また、作者と読者の間に生まれる一体感とは、作者冥利に尽きるお言葉です。 重ねてありがとうございます。
ぼーちゃんと、ぼーちゃんに出会わせてくれた池ちゃんに、感謝!

 

 

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