ぼーちゃんの読む 「たった一つの抱擁」

前記事のぼーちゃんが、緋野晴子の最初の作品 「たった一つの抱擁」 も読んでくださって、またレヴューをいただきました。ほんとうにありがたいことです。

 

 「たった一つの抱擁」・・・・振り返ってみれば、ちょうど10年前です。末息子を大学に入れてしまって、「さあ、これから私は小説を書いて生きていくんです。本気なんですからね」と、私を便利屋のように思っている家族に宣言するために出版した、初めの一歩でした。

 初筆の気負いで描いた作品で、小説の形としてはやはり成功していないと思いますので、今では読んでいただくのも心苦しい感じがして、あまり売ろうと思ってはいないのですが、せっかくこれだけのご感想をいただいたのですから、ぜひレヴュー書庫にいただきたいと、ぼーちゃんにお願いしました。

 

書きたいテーマはいろいろありましたが、夫婦の生態に切り込んだ小説はほとんどなく、出版社に受けそうでしたし、一番売れそうな気がしましたので、これを最初に出版しました。

 世の夫婦のために書いたのですが、レヴューは男性読者からのほうが圧倒的に多く、予想外でした。女性も読んでくださったのですが、読んでいると多分苦しくなるのでしょうね、みなさん、言葉少なのコメントでした。   
ぼーちゃんは、よくこれだけ書いてくださったものです。思わず「逃げない女ですね」と言ってしまいました。以下が、ぼーちゃんのレヴューです。

 

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『たった一つの抱擁』読みました。

 

 私、このお話し苦手です(>_<) 読んでいて心が苦しくなって途中で投げ出したくなってしまいました。
・・・だってあまりにもリアルに女心が表されていて、私自身の心を回想させられてしまったんですもの(≧▽≦)・・・・
夫・夫・夫・ 愛・ 恋・・・ムムムム・・・(>_<)

 

ある本に書かれていた文字、夫婦とは究極な男と女の関係である・・と なるほど 私なりに解釈したのです、色々な面、憎しみ・嫌な所、醜さ、そして愛おしさ・恋しさ・全てを認めて受け入れて一緒に歩む・・・

そこには多少の諦めの心も、ある意味心を楽にする一つの方法である気もするのです。私が多分そんな部分があるんかなぁ 。(笑い)

 この本は家庭を持ち子供を持った女性の心の動きを事細かく描かれた物語で、この本を読まれた女性のほどんど100%に近い方達が共感できる内容ではないかと私は思います。 私的には少し違う部分もありましたが・・・・

捉え方は男性脳と女性脳の違いも大いにありますよねっ(^_-)-☆
夫婦間も根源は人間関係だと思いますし、その人間関係の一番大切なものは、何と言っても優しさ、そして相手を思いやる心だと私は思うのです。

 この物語の終板の旦那様に宛てた手紙の部分からの発展がジィ―んと心に沁み込む感じがあり、何よりも・『たった一つの抱擁』・これでOK
私の好きな感覚で物語を読み終えてホッっとしました。

確かに 『たった一つの抱擁』・・これなんですよねっ 。女性の本当の心に響く行動 。その意味が心に響きました。 まさにこれなんですよねっ  読んでいて起きてくる苦しさが これでスぅ~^っと消えましたもの・・よくぞここまで捉えて文章に表せられるものだと、驚きと感動でいっぱいでした。

逃げない女 ぼーちゃんです

 

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ぼーちゃん、ありがとうございました。

実はこれまで書いた3作は、女性の人生をあらゆる局面で描いてみようと思った女性シリーズの各部分なんです。ですから登場人物はみんな繋がっています。「たった一つの抱擁」の主人公綾子は、「沙羅と明日香の夏」の明日香の母で、「青い鳥のロンド」の主人公・菜摘子(なつこ)の兄嫁です。次は菜摘子の姉・遥(はるか)を主人公にした恋愛テーマ小説を書く予定です。

 女性の人生を・・・と思って書き始めた女性シリーズですが、書いてみると、どの局面においても男性の人生と不可分であることが分かりました。ですから男性も読者になってくれるのでしょうね。

 

夫婦間のことが最も難しく、私自身がもう書くのが苦しくて投げ出したくなりましたが、女の一生を描くならここを避けては通れまいと、蜻蛉日記を読み返しては、自分に都合のいいことも悪いことも、何一つ隠し立てせず己が真実を暴き立てる、もの書きの業を持った女の強さを見習いながら、四苦八苦して作った作品です。


小説中の出来事はすべてフィクションで、私小説ではないのですが、綾子の体験した心理は、筆者である私自身の内から出たものでありますし、リアリティを増すために日記というドキュメントタッチで描きましたので、綾子に関しては、本当のことと思って読んでいただければ本望です。
ただ、私の夫の人権のために、綾子の夫は著者の夫とはまったくの別人であることをお断りしておきます。私は私小説は書きません。

 


 「 たった一つの抱擁 」緋野晴子(文藝書房) ¥1296

 

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いつの間にか乖離してゆく夫婦の愛と性を、妻の側から見つめた作品。
女とはどういうものか? 男とはどういうものか? 
夫婦が愛し合い続けるとは、どういうことか? 
妻であるあなたも、夫であるあなたも、読んでみていただけたらと思います。

 

ネットショップ「楽天」にはまだたくさんありますので、興味を持たれた方はお読みになってみてください。ただし、女性も男性も、苦しくなるのは覚悟してお読みくださいね。男と女の真実は苦しいものです。