緋野晴子の新作 「青い鳥のロンド」 が近々発売の予定です。
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きょうはその中の「あとがき」を掲載しますので、内容をご想像ください。
***** 「青い鳥のロンド」 あとがき *****
この地に人類が誕生してから今日まで、人々はより幸福な生活を求めて長い旅をしてきました。けれどその旅の過程はけっして平坦なものではなく、紆余曲折、迷走を繰り返してきたと言っても過言ではないかもしれません。
私たちは今、いったいどれくらい幸せになったのでしょうか?
国力をはかる指標として、GDPと並んで、ブータン発祥のGNH(国民総幸福量)が取り上げられるようになり、国連では毎年、世界幸福度ランキングが発表されています。それによると、2015年における日本の順位は46位で、経済指標であるGDPの3位に比べると、はるかに低いことが分かります。ちなみに上位5位を占めているのは、スイス・アイスラン
また一方で、日本の自殺者は年間24000人以上(世界18位・高所得国では4位)という調査結果もあり、先進国と呼ばれる国に住んでいるにしては、残念ながら、日本人の幸福度はけっして高くないのが現状のようです。
先進国間の比較では、女性の社会進出の低さが目立ち、そのため日本は今、男女共同参画社会を目指そうとしています。それは目標としては、一見いいように見えます。しかし、問題は中身です。実際には、女性の就労や正社員化を促すことと、女性管理職の数を単純に増やすことのみに向かっていて、そこに大きな疑問符をつけざるを得ません。
働く女性や管理職に就く女性が増えれば、それで私たちは文化国家としてほんとうに幸せに近づくのでしょうか?
幸福感に関する調査の一つとして、世界価値観調査というものがあります。それによると、女性の社会進出が遅れていると言われる日本で、女性のほうが男性よりも幸福感が高いという結果が出ているのです。しかもその男女差は世界一だそうで、それには私も驚かされました。
さらに細かく見ると、正規雇用男性の幸福感が世界の中でかなり低く、そこに職業の種類による違いは見られませんでした。そしてそれ以上に低いのが、正規雇用女性の幸福感です。専門職と自営業を除いては、最も低いという結果が出ています。
こう眺めてみますと、私たちが真に幸福に向かっていくには、単に女性を社会に押し出せばいいという問題ではないことが見えてきます。また、外的要因から見た幸福度と、個人の感じる幸福感にもずれがあることが分かります。私たちは立ち止まって、人間にとって幸福とはいったいどういうものなのかを、各人がもっと考えてみる必要があるのではないでしょうか?
青い鳥のほんとうの姿を知ることが、長い間、私自身の課題となっていましたが、それは難しいテーマで、考えれば考えるほど、答えは闇の奥に遠のいていくようでした。ようやく答えらしきものの姿がぼんやり見え始めたと思っても、それを小説の中に書き留めようとしてみると、答えはまた、奇しくも茫洋と闇の中に帰散していくばかりです。
ところで読者の皆様は、この小説の中から、私の見た三種の神器と同じものを発見されるでしょうか? いいえ、私はそうは思いません。皆様がどんな青い鳥の姿を見つけられるか、それはおそらく、各人各様であろうと、著者の私は想像します。
例えば、小説に登場する夢子さんを、ほんとうは幸せではないのに、幸せだと思いこもうとしている人だと見られる方もおられれば、否、彼女はほんとうに幸せなのだと思われる方もおられるでしょう。栄の魔女につい
ても、四人の女性たちについても、男性たちについても、様々な見方がなされることと思います。それでいいのです。そういうふうにこの小説の中を旅してください。その旅の過程を通して読者の皆様はきっと、ご自身の青い鳥の姿を心に描き出されることでしょう。
ひょっとして、私の見た青い鳥の姿を、いっしょに眺めてくださる方がおられるかもしれません。そうであれば、それはそれで無上の喜びとするところではありますが、そうでなくとも構いません。この小説の中から青い鳥の様々な貌を探し出し、読者の皆様ご自身の幸福と、真に幸福な社会の探求のために、その踏み台としていただけましたら幸いです。
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以上、原文のままです。興味を持っていただけましたでしょうか。事情あって、発売前ですが、予約を集めています。理由は前記事をお読みください。
本代(予約20%引き)+税+送料 = 1600円以内 です。
お言葉と住所等のコメントは2つに分けていただき、こちらで確認しだい、住所等のほうは削除させていただきます。それでも不安な方は、そうおっしゃってください。私のメルアドをお教えしますので、そちらにお願いします。
メジャーな賞を取っていないアマチュアの出版はほんとうに厳しいものですが、1000人の読者さんを目指して、なんとか3冊めまでやってきました。第2作めは、私の把握できました限りでは546人でした。まだまだ遠い道のりですが、頑張っています。この3作目が無事に出版できますよう、皆様のご支援をお願い申し上げます。
( 緋野晴子 拝 )