陽だまりに 小さき羽虫 来てあそぶ
久しぶりに秋らしい天気になりました。綺麗な陽がベランダから差し込んでい
ます。 向かいの家の外壁を覆っていた蔦の葉が枯れて窓が姿を現し、風が吹
くとカサカサと音をたてて揺れて、清涼な空気の中に、なにかもの悲しい雰囲
気を漂わせています。 そういえば博多にいた時のアパートも、いく筋もの
長い蔦に覆われていて、今ごろはカサカサどころかザワザワ~っと、雨のよう
な音をたてて揺れていましたっけ。
この秋は曇天つづきでお日様の光は貴重ですので、さっそく布団を干してシー
ツを洗いました。そこへ生協のお兄さんが荷を運んできてくれて、きょうの空
に負けない明るい声で何やかやと言葉を交わし合いましたら、いっそう爽やか
な気分になりました。
家事の手が空いてから、神社の御神木がやわらかい陽の中でわずかにさやいで
いるのを、ベランダの向こうに眺めながら少し上等なお茶をいただきました。
湯気のたつ飲み物が恋しくなる季節です。
こうした何でもない穏やかな日常が、どんなに有り難く豊かなものか、歳のせ
いでしょうか、しみじみと思われるようになったセイラです。